高齢者の皮膚の特徴
皮膚の状態
高齢者は皮膚トラブルを起こしやすい傾向にあります。足底の皮膚は通常の皮膚よりも厚くできていますが、毛包構造がなく汗腺が発達しています。それが、加齢によってターンオーバーの周期が長くなることで角質が乾燥しやすくなります。また、高齢者は踵部皮膚の変化も顕著です。通常、踵部は脂肪によって守られていますが、加齢によって脂肪が萎縮することで褥瘡リスクが高まり、痛みを感じやすくなります。これは脂肪褥と呼ばれ、高齢者に多く見られます。脈管も加齢によって変化し、静脈やリンパのうっ滞、動脈の狭窄や閉塞などが発生し、皮膚炎や潰瘍の原因になります。
胼胝や鶏眼
高齢者は胼胝や鶏眼になるリスクが高いです。足底に生じる皮膚症状の1つで、局所的にかかる圧力に対して角化が起きます。足の変形に伴い生じることが多く、部位には特徴があります。外反母趾や開張足、偏平足、ハンマートゥなどの変形が蓄積することで負荷が大きくなり、関節が委縮した状態で前重心のまま歩くことで胼胝や鶏眼が発生します。潰瘍化して強い痛みを伴うケースも多く、同時に角化性病変を足趾腹側に形成するリスクもあります。
足底角化症
高齢者の足底は皮膚のターンオーバーの周期が長くなり、汗の分泌量も低下していることから、厚く乾燥しやすい状態になっています。そこに体重がかかることで亀裂が生じ、この部分が潰瘍化する場合もあります。特に注意しなければならないのは、末梢循環障害が見られるケースです。
肥厚爪
多くの高齢者が発症しているのが爪白癬です。特に進行型である全異栄養性爪真菌症は激しい肥厚爪を起こすため注意が必要です。また、爪白癬に似ている疾患として挙げられるのが爪甲鉤彎症です。爪甲が鉤型に変形する疾患で、ほとんどのケースでは末節骨の隆起を伴い爪甲が前に伸びず、生えてはリセットを繰り返していきます。肥厚した爪は靴にぶつかり皮膚に食い込むため強い痛みが生じ、歩行ができなくなってしまいます。
巻き爪
爪の角が折れ曲がる、あるいはトランペットの先のように丸く巻くという変形をきたす疾患です。足の変形により部位が強く押されて生じるだけでなく、筋力の低下によって歩行の機会が減り湾曲が強くなるケースも少なくありません。爪が湾曲すると爪床の皮膚が挟み込まれ、炎症や痛みが生じます。また、湾曲して爪甲に高さが生じることで、靴先の上部にぶつかり、痛みを感じる場合もあります。
以上が高齢者の皮膚の特徴や、代表的な疾患です。これ以外にも注意すべき疾患がありますので、フットケアに携わる看護師はあらかじめ確認しておきましょう。
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具体的な方法をチェック!
フットケアの基本は、足に異常が起きていないかを常に観察し、清潔に保つことです。足のトラブルを抱える高齢者に対しては、マッサージや保湿なども求められます。フットケアの具体的な方法を見ていきましょう。
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